web漫画レビュー――『妄想少年』


2013/09/29


今回は新都社の人気作品。
『妄想少年』の紹介。
作者様は“Cu”先生です!

これを読めば、
web漫画に対するイメージが変わる
と言えるほど素敵な作品です。



『妄想少年』


URLはこちら
ttp://sasanohaan.web.fc2.com/mousou/frame-m.html


※HTMLのフレームタグ仕様変更のためか、サイト期限切れのためかわかりませんが、
上記のURLが古くなって正常に表示されなくなってしまっているので、別のものを貼り直します。
(ただ、こちらからだと17話までしか見れません)
URLはこちら
ttp://sasanohaan.web.fc2.com/mousou/m-list.html





※19話途中更新時の感想となります。



【ジャンル】
怪奇系

【内容】
どろどろとした感情を持った主人公が、
美術大学を目指す過程で、
信頼できる友達と出会い、
色んな色を知っていく話。








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恐れるべきは、
その圧倒的高画力!





これが漫画のワンシーン。
一枚絵だけ凄いとか、
そういうレベルじゃないです。

ある程度描きやすいように崩しつつも、
デッサン力がとにかく凄い。
絵を見ているだけでも楽しくなります。

この絵が、
主人公の濃密な心理描写と組み合わさった、
“漫画”として描かれるのだから、
『妄想少年』の世界に引き込まれてしまうのはやむを得ません。




絵だけが凄いのではなく、
心理描写が本当に得意な作者様です。



例えば、私が感心させられた演出としては、
まず、名前を出さないこと。
この漫画において人名、地名は一切登場しません。

これが独特な世界観に引き込む上で、
一種の効果になっているのではないかと思います。


それから、
名前だけではなく、多くの登場人物には顔がありません。
人間のイメージを大きく決める部分である“目”が描かれていないのです。

ただし、主人公が心を開いた相手の目は描かれる。

これが演出として綺麗に嵌っています。
特に台詞が無くとも、
綺麗な瞳を描かれるだけで、
主人公の心の解放がぐっと伝わってくるんですよね。


そんな具合に、
『妄想少年』にはあっと驚く仕掛けが多く仕込まれています。




こちらは好きな人が出来て、
主人公の幸せな感情を表しているシーンですが、
web漫画ならではの表現で、
ほのかにピンク色を混ぜることにより、一目瞭然。
主人公の感情が豊かに広まっていくことが柔らかに伝わってきます。


ただ単に絵が凄いのではなく、
世界を表現する力。
作品を魅せる方法というものを熟知しておられる方です。

web漫画ならではの手法も多く取り入れられていて、
一部に色を付けて、効果的な演出をすることの他、
青空を表現するシーンで、
画面を下から上にスクロールさせるようなサイトデザインをしてみたりと、
新しいことにも挑戦されている方で、
実際にそれが演出としてプラスに働いていて、
感性の本当に素晴らしい先生なのだと感じさせられました。


二番煎じではなく、
自分の感性から新しいものを生み出していく。

なかなか出来ることではありません。








これは鉛筆画をベースに、
デジタルで色付けをされているのかな?
……というようなイラストですが、

手の温もりが実際に伝わってきますよね。


質感が上手く出せていて、
色合いも優しい感じ。


絵の上手い作家は他にも大勢いますが、
ここまで絵の力を感じさせられることが出来るのは、
この先生だけではないでしょうか!





もっとも、
漫画の絵とは違う!
……と言われそうな絵柄ではありますが、

締め切りの存在せず、
時間をかけて原稿を完成させられ、
印刷による完成度の劣化を配慮する必要も無く、

自由な形で作者の本気を直接そのままぶつけることが出来る。


それが、web漫画一番の魅力であり、
この作者様の魅力でもあるのではないでしょうか。




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さて、
驚くのはここからです。




妄想少年は“Cu”名義で漫画を掲載されておられますが、
この作者様は“パン∞ダラー”という別の名前で、
もう一つ別の漫画を掲載されておられます。

その漫画がこちら。



『MOE-DOLLS』

URLはこちら
ttp://atelier-panda.com/moe-dolls/frame_moedolls.htm


※14話終了時点での感想となります。



【ジャンル】
萌漫画

【内容】
キモヲタ吉男と
生きた人形のモエリエッタが綴る
萌系ほのぼの漫画。




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とても上で紹介した『妄想少年』と同一人物が描いた漫画とは思えません(汗
正直、私も紹介するにあたり、同一人物である自信が無くなってきたので、
もう一度調べなおしてみましたが、
どうやら本当に同一人物っぽいです。

言われてみれば……確かに、絵柄も似ている部分があるかも知れない……?


『妄想少年』はどろどろものでしたが、
こちらの『MOE-DOLLS』は、
ゆるふわコメディもの。

作風の違いによって、
絵柄を自由自在に使い分けられるという、
恐ろしい技術を持っておられます。








……いや、やっぱこれ別人なんじゃ(汗


ちなみにこのキャラクターは人形です。
可愛いです。

『MOE-DOLLS』というタイトルの通り、非常に萌えます。
絵柄も可愛い。


『妄想少年』とは話も絵も、真逆な作品であると言えます。



なんかもう、
この作者様は何でも描けそうですね(汗


一枚絵だけで絵柄を使い分けるならまだしも、
長期連載漫画として絵柄を使い分けている訳ですので、
もはや作者が多重人格みたいな異変を起こしているとしか考えられない……。


本当に器用な作者様です。



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仕事の忙しい方で、
更新もかなりの時間止まっていますが、
この先生ならいつかひょろっと更新してくれると信じています。


本気で凄い先生なので、
是非一度漫画を読んでみて頂けると嬉しいです。


作者サイトはこちら。
ttp://sasanohaan.web.fc2.com/