web漫画レビュー――『刀遊記』


2014/01/06


久々の漫画レビュー記事となってしまいました(汗
好きな漫画は山ほどあるのですが、
感想を書く時間がなかなかとれなかったのです。

さてさて言い訳は短めに済ませて、
今回は千夜(ちよ)先生の
『刀遊記』の紹介です。




URLはこちら
ttp://touyuki.digi2.jp/


※54話終了時の感想となります。




【ジャンル】
侍西部劇

【内容】
侍である主人公"伊武清十郎”は航海中、
嵐に巻き込まれ、流されたところを、
インディアン部族に助けられます。
その過程でうっかり無くしてしまった、
父親の形見である刀を探していると、
あれやこれやに巻き込まれていく話。




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『刀遊記』
その魅力は何と言っても、
高クオリティ高ペース。


漫画レビュー第一回で紹介させて頂いた、
『K』が完結した(第一部)今、
新都社の看板と呼べる漫画はこの漫画なのではないかと思っています。


漫画としては、
これまで紹介したどの漫画よりも、正当で王道な少年漫画で、
章ごとにきちんと話がまとまっていて、
非常に読みやすい漫画です。

王道な展開が続きますが、
それぞれの章ごとにパターンが違うので、
飽きることなく楽しむことが出来ます。

web漫画はアタリハズレが玉石混合に入り混じっているので、
初見の漫画を読む際には若干躊躇ってしまう面があるのですが、
刀遊記に関しては、
「これは面白い(確信)
……という感じで、スラスラと読み進めることが出来ました。


まず主人公が一人の人間として、一つの筋を持っているので、
余計な葛藤が無く、物語の進行が円滑。
少し頼りなさそうな面も見せますが、
トボけているようで、いざという時には頼りになる。

人気商業漫画の主人公を思い浮かべるとわかりますが、
清十郎のような主人公はまさに漫画の主人公として理想像とも言えるでしょう!



刀遊記の印象としては、
ジャンプ系の少年漫画に近いかも知れませんね。

重い題材を使用しつつも主人公の天然さでそれを暗く見せすぎず、
隙あらばギャグ描写をまじわせ話にメリハリをつけ、
盛り上がる場面では思い切り熱く盛り上げる。

絵としては一般に言うプロほどでは無いにせよ、
趣味の個人製作としてはかなりの出来栄えであり、
何よりコマの使い方や演出が完璧。


台詞の無い、絵だけのコマを使うというのは、
中々に難しいことだったりするのですが、
間のとり方がうまく関心させられます。
俯瞰やら煽りやら、
カメラワークが自由でキャラデザが立体的に捉らえられているので、
背景も少なめではありますが、
どういったシーンなのか、
どういった立ち位置にいるのかがわかりやすくなっています。



演出で好きなのは例えばこのシーン。(48話)
「死ぬ覚悟のできている者からかかって来い!
 おれはもうできている」

突然の強風により看板が飛んでいくシーンですが、
こういうおふざけをしながらも、
それでも格好いいという絶妙なバランス。
この熱いシーンに、ギャグを挟むというのは、
下手すれば展開が台無しになりかねない気がして、
躊躇ってしまうもの
ですが、
このリアルでありながらも漫画的で、
ギャグとシリアスがうまく中和された
独特な雰囲気
こそが、『刀遊記』の魅力なのです。






女キャラは少なく、
基本汗臭いのもこの漫画の魅力。


上で紹介した回で、
主人公とライバルであるビリーが共闘する展開も描かれていますが、
友情こそがこの漫画の本髄!





リアルな系統の漫画を描く上で
登場人物が男キャラばかりに偏ると、
髪型による描き分けが出来ないので、
キャラクターをつくるのが、
難しいだろうとは思いますが、
刀遊記では顔の形状、細かいパーツを含めた骨格全体でデザインを組み立て
特徴的なキャラクターを量産されており、
例えばモンスターのような形相の人物も多く登場するのですが、
それらがすべて物語の雰囲気を壊すことなく交わっています。

レッドブルとか汚いおっさんなのに、
これまたすごく格好よく見えたり。
おっさんが格好良いのが特徴です。

とにかく、人物を描くのが
上手いなあという印象は強いですね。





名前のセンスもいいです。
個人的に好きなのは、
「ジェシー=ジェイムズの親愛なる友人達」
というもの。
西洋映画の吹き替えっぽくて雰囲気出てると思います。

元ネタがあるのかも知れませんが、
それにせよセンスがいいですよね。






とりあえず過去TOP絵のページを見て下されば、
作者さんが漫画の上手い人だと分かると思います。
ttp://touyuki.digi2.jp/top.html


和風だったり西洋風だったり、
絵の雰囲気を描きたいものに合わせて変えられる器用な面も見れますし、
とあるtop絵に関しての作者コメントで、

「一応二人の向きが逆なのは「共闘」を意識してます。
 向かい合ってたら「対決」になっちゃうかなぁと思って。」


というコメントをされており、
ちゃんと考えて絵を描いているのだということが分かりますし、
私みたいにその場の思いつきで意見をころころ変えるような作者ではなく、
考えが固まっている作者さんだとも分かります。

他には、
「自分でポーズとったのを鏡で写メで撮ってそれ見て描きました」
とか笑いのセンスがある人だなと思ったり。
(上のビリーのポーズのことです)

想像すると笑ってしまうw










……そんな感じで、
作者さんも漫画も面白い作品なので、
是非読んでみてはどうでしょうか。
オススメです!
URLはこちらです!
ttp://touyuki.digi2.jp/