web漫画レビュー――『仮面ライダースイッチ』


2013/08/23


メジャーな作品ばかりを紹介してきたので、
ここらで隠れた(?)名作を紹介を。



主人公の口癖は
「冗談にしても笑えねぇ!」



『仮面ライダースイッチ』の紹介です。
今回は新都社漫画ではなく、
少年ワロス連載の漫画となります。
※一巻分完結時点での感想となります。
http://www.vipdoor.info/comic/ww2511



まあ、隠れた名作とは言っても、
ワロス作品としては、かなり有名な作品なのでは無いでしょうか。

作者は13先生です。





【ジャンル】
王道バトル漫画

【あらすじ】
須藤一はある日突然改造人間にされてしまう。
謎の組織との戦いに巻き込まれ、
彼の人生は大きく変わることになっていきます。





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一言でこの漫画を表すなら、

「王道少年漫画」


それだけ、
王道中の王道と言える漫画です。
迫力があって見ごたえもある。
かつ面白い!

何より、王道ということで、
読んでいて安心感がありますね。




さて、少年ワロスというと新都社の姉妹サイト。
新都社との一番の違いは何かというと、
作者と読者の数と比率
ですかね。

新都社が、
閲覧者が多く、その半分以上が純読者であるのに対して、
ワロスは、
閲覧者が少なく、またその多くが漫画作者である。
ということが挙げられます。

新都社には当然のランキング機能がワロスには無く、
コメント機能も記名式(任意)だったりと、
ワロスは作者同士の交流がメインのサイトでもあります。


仲間意識が強いからこそ、
作者同士の争い……のようなものは存在しないので、
楽しんで漫画を描く場
という意識が強めです。

例えば、具体名を出すならば新都社では、
『今日も元気に二重○!』
のような、コメント数を稼ぐことのみを目的とした漫画も数多く存在しますが、
(※二重○は読むと何だかほっこりする良作なので読んでみて下さい。
 FA描いてあげて下さい)

ワロスには、それがほとんど存在しません。


要するに、
新都社が「描きました!読みました!」の落書きサイトならば、

ワロスは少数精鋭。
漫画サークルのような雰囲気のサイトとなっています。




そんなワロスで連載しているということもあって、
人気は二の次に、
楽しんで漫画を描いているのが伝わってきて、そこがまた良いです。
1p1pを丁寧に仕上げられていて、
描き直しもかなり行われています。



例えばこのシーン。

↑ここから

↓こっちが完成版


この描き直し具合。半端じゃないです。

何も説明しなくても、画像を見れば一目瞭然だとは思いますが、
こだわりが本当に凄い。プロ並みの修正力。

リアルでの仕事が本当に忙しい方であるにも関わらず、
この執念は凄すぎる。






人気を得ることではなく、
漫画を描くことが目的であるからこその持続力。

さらにはコメントの殺伐としていない、
少年ワロスだからこそ成し得た漫画であると言えるかも知れません。



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そして、この漫画一番の見所は、
何と言っても魅力のあるキャラクターの面々


敵キャラクターやモブキャラは、
基本的に、ワロス作家・キャラクターがモデルとなっています。

楽しんで漫画を描いていると書きましたが、
こういうネタに細かいところも分かりやすいですね。
パロディネタも豊富に仕込まれているので、
ある程度ワロス漫画を読み込んだ方なら、終始にやにやできること間違いなし。


是非見て頂きたいのは、
敵キャラクターのデザイン。


かっこいい!

人間の体はもちろんのこと、
架空の生物もリアルに書き込まれていて、
本当に凄い。


普通の人体ならば骨格、筋肉の付き方を勉強すれば、
ある程度は努力でリアルに描ける様にもなるでしょうが、
存在しない動物は、自分の空想を頼りに肉付けをしていかなければならない訳です。

そんなものを、
本当に存在していてもおかしくないようなレベルで描けるのだから、
これは、もはや努力では追いつけない、才能の領域ですよね。


人間の体すらまともに描けない私には遠い夢のような話です。







空想を絵にするといえば、
こういったポーズ、演出も参考になるところがあります。

現実には見ることの無い構図も、
こんなに正確に描いてしまうのが13先生。

動きのある絵は、
どうしても細部が荒くなってしまいがちですが、
細部の描き込みと絵の勢いを両立させているというところに感心します。






とにかく画力が高く、
描き込みが半端無いのが特徴なのがこの漫画。





上記で説明したのは、生き物ばかりですが、
『仮面ライダースイッチ』では、生き物以外にも、
主人公の相棒として“バイク”が登場します。


一般的に、バイクを描くのはかなり難しいと言われています。

理由としては様々ありますが、
簡単に説明すると、部品がごちゃごちゃしていて、
それをバランスよく組み合わせなければならないということ。

しかも、動くものなので、
写真そのまま、という訳にもいかず、
漫画的技法を加えて、“動き”を加えなければなりません。


+そこに人が乗ると、さらに絵の難易度は跳ね上がります。



ここで、バイクの困ったところは、
これらの手を抜いてしまうと、ちゃっちい絵に仕上がってしまうということです。



そんな難しいモチーフを躊躇い無く登場させ、
細部まで緻密に描き込む13先生の漫画への執念は素晴らしいです。





本当に凄いと思います。


画力の高い作者さんは多く存在しますが、
ここまで動きのある絵を幅広く柔軟に、緻密に描ける作者さんはいないのでは無いでしょうか。




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ここまで、画力についてを主に書いてきましたが、
台詞も展開もぐっとくるものが多いです。

何より熱い!



バリバリ働いている、
社会人作家であるが故に、
しっかりとした人生観、価値観を持っていて、
つまる話が大人な作者さん。

やはり、精神年齢の高い方の描かれる漫画は、
読者の立場に立って展開を考えられていて、
読みやすい!
勉強になることが多いです。



画力に見合うだけの話力も持ち合わせている作者さんなので、
是非一度は読んでみて欲しいです!

http://www.vipdoor.info/comic/ww2511